『賢者と愚者』
生徒諸君へ
非常事態とはいえ、
君たちが授業で知ることのできないまま、
学ぶ機会を失うことをオレはとても心配、
いや恐れている。
そもそも、
いまコロナで世界が騒がれているが、
日本が比較的被害の少ない、恵まれた国である
ことを実感しているだろうか。
もし、
他の国で生まれていたら、
こんな毎日を過ごせず、もっと不自由な思いを、
いや、命の危険と隣り合わせて日々を過ごす状
況におかれていた可能性が高い。
さらに、コロナが流行る以前に、
飢餓、貧困や疫病、民族どうしの紛争や
迫害・虐殺で喘いでいるかもしれない。
ただ、日本も今後どうなるかなんてわから
ない。
他の国と同じ道を辿るかもしれない。
なぜか。
それは、自分の国のルーツ、歴史、周辺諸国と
の関係、国際問題などを、
あまりにも知らない、興味を持たない人々が
多すぎるからだ。
歴史を知らない人は、
何を参考にするか。
自らの経験をもとにする。
ただ、それは「自分」という枠組みを飛び出さ
ない。もしかしたら、過去の過ちを知らないう
ちに繰り返すこともあり得る。
社会では、自分の物差しだけでは到底答えが出
せないことばかりだ。
だからこそ、
先人たちの過去を辿ることは、
成功体験や失敗談などを学び、
時代に合わせたオリジナルの対応を生み出す近
道となる。
みんな、オレも含めてまだまだ未熟だ。
たくさん学び、その中で未来の自分たちを作っ
ていこう。